書籍のように詳しくはないけど、ちょうど欲しい情報がここにある

なぜ「以外」の印鑑証明書でよいのか?

当該遺産分割協議によって
不動産の相続人となった者「以外」の
相続人全員の印鑑証明書を添付することで足りる。
もちろん、「以外」も含めた全員の印鑑証明書を添付してもよい。

この印鑑証明書は、
原本還付ができます。

遺産分割協議書に印鑑証明書を添付させる趣旨

登記研究748p44

相続による遺産分割の結果を記載した遺産分割協議書に印鑑証明書を添付させる趣旨は、当該協議書が真正に作成されたものであることを、作成者自らに担保させるためであり、当該遺産分割協議によって不動産の相続人となった者以外の相続人全員の印鑑証明書を添付するものとされている。

遺産分割協議によって不動産の相続人となった者「以外」

1 登記の真正の担保

登記は、登記権利者と登記義務者が共同して申請すべきこととして、登記の真正を担保しています。相続による登記は、登記義務者である被相続人が死亡しているため、共同申請ができません。そこで、市区町村長が発行する戸籍謄本等を添付することにより、相続人及び相続分を登記官に示し、相続人からの単独申請であっても、登記の真正を担保できるようにしています。

2 協議書作成の真正の担保

遺産分割協議書は、民法に基づく相続人や相続分を変更するため、その信頼性を確保する必要があります。
そこで、先例(昭和30年4月23日民事甲第742号民事局長通達)は、遺産分割協議書には、その書面の一部として押印した者の印鑑証明書を添付すべきとしています。

3 不動産を相続することとなった者にも印鑑証明書を要求する必要があるのでしょうか?

遺産分割協議により不動産を相続することとなる所有権の移転登記の申請人と他の相続人との関係は、あたかも当該申請人が登記権利者、他の相続人が登記義務者の地位にあると解することもできます。所有権移転登記の登記義務者は、登記申請意思の確認のため印鑑証明書が要求されますが、それと同様に考えて、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、所有権の移転登記の申請人を除く他の協議者全員のもので足りるものとされています。
不正確な表現とはなりますが、次にようにイメージしてもよいと思います、すなわち、不動産の相続人は、遺産分割協議により民法で定める以上の相続分を得ている、すなわち利益を得る者であるためわざわざ不実な登記はしないであろうと考えて、印鑑証明書を添付する必要はないと言えます。また、上記1で見たように、登記の真正はすでに担保されています。

したがって、不動産の相続人「以外」の者の印鑑証明書を要求すれば十分と考えられます。

原本還付

当該遺産分割協議に添付する印鑑証明書は、原本還付できます。

添付書類としては記載しません

遺産分割協議書の一部としての印鑑証明書は、嘱託書の添付書類として記載しません。

「添付書類 登記原因証明情報 印鑑証明書」
と印鑑証明書を独立して記載するのは、所有権登記名義人が登記義務者となる場合などです。

登記承諾書の印鑑証明書も、独立して記載しませんよね?
記載するとしても、「登記承諾書(印鑑証明書付)」とカッコ書きで書きます。
「一部としての」印鑑証明書は、添付書類として書かないようです。
何を添付書類として記載するのかについては、次の記事を参考にしてください。
添付書類の記載について



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