Ⅰ 客体が複数の不動産となる
チェックポイント① 管轄登記所の同一
甲土地と乙土地を買取しようとする場合において、両土地の管轄登記所が異なる場合は、一つの嘱託書にまとめて(一括して)記載し提出することはできません。
管轄外の登記所に嘱託書を提出することはないと思いますので、ポイント①が問題となることは少ないでしょう。
チェックポイント②
例 Aがくまのみ市に対して、5月1日、同一管轄登記所内にある甲土地と乙土地を売渡した場合
4つのチェックポイントを検討してみます。
チェックポイント① 管轄登記所の同一
甲土地・乙土地:同一管轄
チェックポイント② 登記の目的が同一
甲土地:登記の目的 所有権移転
乙土地:登記の目的 所有権移転
チェックポイント③ 登記原因及びその日付が同一
甲土地:原因 ◯年5月1日売買
乙土地:原因 ◯年5月1日売買
チェックポイント④ 申請人(権利者・義務者)が同一
甲土地:権利者 くまのみ市
義務者 A
乙土地:権利者 くまのみ市
義務者 A
4つのチェックポイントをみたすので、甲土地と乙土地は一括して嘱託してよい。
登記嘱託書
登記の目的 所有権移転
原因 ◯年5月1日売買
権利者 くまのみ市
義務者 ◯市◯番地 A

不動産の表示
甲土地
乙土地
所有権移転と共有持分全部移転は、登記の目的は同一?
「登記の目的の同一」とは、一字一句同じという意味ではなく、登記の種類が同じという意味で、例えば、保存登記なのか、移転登記なのかなどを検討します。
所有権移転と共有持分全部移転は、文言は違いますが、移転登記である点で登記の目的は同一といえます。
登記研究470p97
一括申請の可否について
[要旨]登記権利者・登記義務者・登記原因が同一であり、かつ、持分の移転について第三者の権利に関する登記(処分制限の登記及び予告登記を含む。)がなされていない限り、所有権移転登記と共有持分全部移転登記は、同一申請書で申請することができる。
次回の記事は、Ⅰ(イ)4つの要件(令4但書)について、チェックポイント③と④を検討します。
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