規則37
(添付情報の省略等)
第三十七条 同一の登記所に対して同時に二以上の申請をする場合において、各申請に共通する添付情報があるときは、当該添付情報は、一の申請の申請情報と併せて提供することで足りる。
2 前項の場合においては、当該添付情報を当該一の申請の申請情報と併せて提供した旨を他の申請の申請情報の内容としなければならない。
チェックポイント③ 各申請に共通する
法令上の添付書類の「性質を同じ」にするという意味です。
(物理的に同じという意味ではありません。)
添付書類の性質については、下記の記事を参考にしてください。
https://www.shokutakutouki.website/tempushoruinoshushi/
S32.6.27民甲1220
相続登記に添付した遺産分割協議書の印鑑証明書は、同時に申請した同一不動産の抵当権設定登記の添付書類として援用できない(S32.6.27民甲1220)
遺産分割協議書の印鑑証明書: 協議書作成の真正担保のため
抵当権設定の印鑑証明書: 申請意思の確認のため
登記研究514
[要旨] A、B両名の記載がある住所証明書を添付してA、Bそれぞれのためにする所有権移転登記を連件で申請する場合、右証明書を援用することができない。
[問] A及びB(同一世帯)両名の記載がある住所証明書を添付してAのためにする所有権移転登記を申請する場合において、同時にBのためにする所有権移転登記を申請するときは、右住所証明書を援用して差し支えないものと考えますが、いかがでしょうか。
[答] 申請人が異なるので援用することはできないものと考えます。
援用できないのであれば、連件で申請できないの?
原本還付の手続きをすればよい
1件目のAの申請書には、住所証明書をコピーし「原本と相違ない旨を記載し署名(記名)押印」したものを添付し、2件目のBの申請書に原本を添付すれば連件で申請できます。
(嘱託登記も同様に処理できます。)
登記研究514の[答]について考える
登記研究514の[答]は、申請人が異なることを理由として援用ができないとしていますが、チェックポイント③と絡めて考えてみたいと思います。
1件目:Aの住所証明書として添付したのであり、Bの住所証明書として添付したものではない。
2件目:Bの住所証明書として添付する。
たとえ同じ住所証明書であっても、1件目でBの住所証明書として添付されているのであれば、2件目では「各申請に共通する」添付書類として援用できますが、1件目でAの住所証明書として添付しているので、2件目でBのために援用することはできません。物理的に同一の住所証明書であっても、観念的には内容の異なる書類と解せざるを得ないことになります。
法令上の添付書類の「性質を同じにする」とは、つまり
「虚無人名義の登記の防止(不登令別表30項)」、「作成の真正を担保する(不登令19Ⅱ)」など、法令上の添付する文書が同一であることが援用の要件(チェックポイント③)となりますが、登記研究514にあるように具体的に「誰のための」書類として添付したのかまで考える必要があります。
次回の記事は、添付書類の援用についての最後の記事「市と公社の連件について」について考えます。
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