
外国人との婚姻により外国籍を取得し、日本国籍を喪失した法務花子さん。
日本人である父 法務太郎さんの相続権を失うのでしょうか?

失いません。
登記研究66 P41
登記研究67 P39
改訂渉外不動産登記(藤原勇喜)P252
我が法例第26条は、「相続ハ被相続人ノ本国法ニ依ル」と規定し、相続統一主義をとっている。したがって、相続については、被相続人が日本人であれば相続人の国籍いかんにかかわらず日本の法律が、被相続人が外国人であれば相続人が日本人であってもその外国の法律が適用される。

日本国籍を喪失した登記義務者の印鑑証明書について、代わりに宣誓供述書を使用したいと思っています。宣誓供述書の認証は、日本の在外公館でできますか?

できません。
例えば、アメリカ国籍を取得しているのであれば、アメリカの公証人等に認証してもらう必要があります。
登記研究274 P71
登記義務者である日本国籍を喪失した者の署名証明書の提出について
【要旨】日本国籍を喪失した所有権の登記名義人が、登記義務者として登記の申請をなす場合において、申請書又は委任状の署名が本人のものであることの当該外国官憲の証明書に代えて、日本の在外公館の証明書を提出することはできない。
問 昭和19年にスウェーデン人と結婚して日本国籍を喪失し、昭和39年にアメリカ合衆国ニューヨーク州に住所を移転した所有権の登記名義人が、登記義務者として登記の申請をなす場合において、本人の委任状に母印を押し、本人の母印に相違ない旨在ニューヨーク日本総領事官の証明がなされているのですが、当該委任状の提出をもって昭和34年11月24日付民事甲第2452号民事局長通達にいう「当該外国官憲の証明書」の提出を省略することはできませんか。
答 省略できないものと考えます。

日本国籍を喪失した元日本人の遺産相続関係書類等について

本人の署名は、日常使用している外国文字の署名でよい
昭和46年11月2日民事三発第303号民事局第三課長依命回答(昭和46年7月9日外務大臣官房領事移住部領事課長照会)
日本国籍を喪失した元日本人の遺産相続関係書類等について
今般在シカゴ総領事より、日本国籍を喪失した元日本人が在日遺産の相続に関する手続に関連し、本人の署名の関係書類に現地公証人の公証をうけたうえ、本邦の登記所へ提出する場合、本邦の依頼人から本人が送付を受けた書類は多く日本文で書かれており、且つ特に日本語による署名を要求越すことがあり、これがため現地公証人は原文書の内容を理解出来ず、日本語の署名では本人が自署したか否か確認出来ないため公証を拒否するケースが多々あることを報告越すとともに、下記の点につき問合せて来ましたので、お手数ながら回答方お願いいたします。
記
1,民法第903条の規定に基づく相続分不存在の証明書に行う本人署名は、日本文字でなく日常使用している外国文字の署名でさしつかえないか。この場合、署名本人が当該相続における相続人本人と同一人であることの公証された宣誓書をも添付させる必要があると考えるが如何。
2,本人の日常使用する署名と日本文字による署名とを並記したものでも、さしつかえないか。此の場合も、右記の如き宣誓書を添付する必要があるか。
3,右記相続分不存在の証明書の原文書は、外国文字により作成されたものでよいか。
4,不動産の所有権移転登記の嘱託承諾書についても同様と考えてよいか。
(回答) 本年7月9日付領領第280号をもって照会のあった標記の件については、左記のとおり回答します。
記
第1項 前段 貴見のとおり。
但し、当該署名が署名本人のものに相違ない旨の公証人の証明を要する。
後段 消極に解する。
第2項 前段 貴見のとおり。
後段 前項により了知されたい。
第3項 貴見のとおり。
第4項 前各項により了知されたい。

外国に帰化した元日本人について、帰化後新たな相続人が生じなかったことの証明はどのようにしますか?

原則 本国又は在日公館の発給した相続証明書
例外 便宜上、宣誓供述書
登記研究255号 P46
[93] 外国に帰化した元日本人について帰化後新たな相続人が生じなかったことの証明書の例
日本人が米国に帰化後死亡した場合において、同人が帰化後に米国において結婚した事実がない旨の宣誓書をもって、便宜、帰化後に新たに相続人が生じていないことを証する書面として取り扱いさしつかえない。
上記事例の解説
改訂渉外不動産登記(藤原勇喜)P303
もっとも、この事例は、被相続人がアメリカ国籍を取得したのが67才という高齢者であることから、帰化後結婚して直系卑属を有するに至るのが稀有な場合であるので、例外的事情を想定してまで相続人の有無を確認する必要はないものと考えられるところから、便宜宣誓書でさしつかえないとされたものと考えられ、被相続人が若年で帰化して当然その後に新たに相続人が生じていることが予想される場合には、原則として本国又は在日公館の発給したものを相続を証する書面として提出すべきであろう(注8)。
注8 登記研究221号32頁、民事月報21巻3号179頁。

外国に帰化した元日本人の署名証明

外国官憲の証明書を提出する。
登記研究160号 P43
1、 日本人が米国に帰化して米国人となりたる場合に、日本に所有する不動産に付所有権移転の登記を申請する場合の委任状の捺印について左記のとおり両説あり、何れによるべきか。
イ説 明治32年法律第50号(外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律)第1條により署名のみにて差支なし。
ロ説 外国に於て署名したものは果たして本人が署名したものかどうか不明に付米国官憲が「此の署名は本人の署名に相違なき旨」の奥書を要する(城山)
決、ロによるを相当とする。

在外居住の元日本人の民法903条第2項の証明書(サイン証明付)を添付してなされた相続登記申請の受否について

アメリカ合衆国公証人等が証明したものであれば、受理できます。
登記研究258 P73
相続登記申請の受否について
【要旨】 在外居住の元日本人の民法第903条第2項の証明書(サイン証明書付)を添付してなされた相続登記申請は受理できる。
問 日本人である被相続人甲(昭和38年2月1日死亡)に相続人乙、丙の2人があり、丙は、昭和28年1月1日米国人ウイリアムと結婚し日本国籍を喪失して、現在ワシントン市に在住しています。このたび乙より丙の署名ある民法第903条第2項の証明書を添付して相続による所有権移転登記申請書の提出がありましたが、右は受理できると考えますが、いかがでしょうか。
受理できない場合は、どうしたらよろしいでしょうか。
答 民法第903条第2項の「相続分のないことの証明書」になされた丙の署名について、本人の署名に相違ない旨のアメリカ合衆国公証人等が証明したものであれば、受理してさしつかえないものと考えます。
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