
嘱託と申請を同時に提出した場合、嘱託に添付した書面を申請に援用できない。
登記研究728
質疑応答
質疑応答24(本誌192号71頁)
官公署等の代位登記の嘱託書等に添付された法41条(現行登記令別表の22の項添付情報欄)の相続を証する書面を、私人の登記申請書の添付書面に援用することは、法細則第44条ノ9(現行規則第37条第1項)の法意から許されない。
質疑応答25(本誌217号73頁)
登記嘱託書の添付書類は、同時に提出した申請による他の登記に援用できない。
解説
ところで、不動産登記規則中、「申請」、「申請情報」には、それぞれ「嘱託」、「嘱託情報」を含むものとされている(規則192条)。したがって、同一の登記所に対して同時に二以上の嘱託をする場合において、各嘱託に共通する嘱託情報があるときは、規則37条1項が適用されることになるから、嘱託と私人による登記申請が同時に提出され、それぞれの登記に共通する相続を証する書面(登記原因証明情報)があったとしても、その添付書類を援用することは認められない(質疑応答24・質疑応答25)。
条文
不動産登記規則
(登記の嘱託)
第百九十二条 この省令に規定する登記の申請に関する法の規定には当該規定を法第十六条第二項において準用する場合を含むものとし、この省令中「申請」、「申請人」及び「申請情報」にはそれぞれ嘱託、嘱託者及び嘱託情報を含むものとする。
(添付情報の省略等)
第三十七条 同一の登記所に対して同時に二以上の申請をする場合において、各申請に共通する添付情報があるときは、当該添付情報は、一の申請の申請情報と併せて提供することで足りる。
2 前項の場合においては、当該添付情報を当該一の申請の申請情報と併せて提供した旨を他の申請の申請情報の内容としなければならない。
どういうこと?
読み替えてみると
不動産登記規則192条は、「申請」は「嘱託」と、「申請人」は「嘱託者」と、「申請情報」は「嘱託情報」と読み替えてオッケーですよ、となってます。
規則37条を読み替えると、
(添付情報の省略等)
第三十七条 同一の登記所に対して同時に二以上の嘱託をする場合において、各嘱託に共通する添付情報があるときは、当該添付情報は、一の嘱託の嘱託情報と併せて提供することで足りる。
2 前項の場合においては、当該添付情報を当該一の嘱託の嘱託情報と併せて提供した旨を他の嘱託の嘱託情報の内容としなければならない。
つまり
「同時に2以上の嘱託をする場合において」であって、
「同時に2以上の嘱託と申請をする場合において」とはなってはいない。
よって、嘱託と申請を同時に提出した場合、嘱託に添付した書面を申請に援用できない。
※嘱託登記と申請の連件については下記の記事を参考にしてください。
登記「嘱託」と「申請」、連件で提出できるのか?
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