本ブログ内(沖縄の特殊事情関連)における「字有財産」の捉え方
本ブログ内においては、字有財産を次のように考えています。
・登記簿上において、「字〇〇」「◯◯財産区」と記載されている。
・字が属する市町村には、財産区(旧財産区)は、過去も現在も存在しない。
・字名義地は、「戦時中の法人化した町内会・部落会」の所有ではない。
・字有地であるが、誤って財産区名義で登記されているものがある。
・◯◯自治会(字◯◯)が有する財産(字有財産)は、◯◯自治会が認可地縁団体となった場合には、当該認可地縁団体へ引き継がれる。
・財産を有している団体は、入会団体ではない。
下記図1でいうと
下記図1の所有者の分類でいうと、「町内会・自治会等の地縁団体」が有している財産を「字有財産」と考えています。
とすると、登記簿記載例は「住所・氏名」となりますが、なぜか「字」で登記されている。
その「なぜ?」をどう処理するのかについて考察していきます。
<<図1 所有者が特殊な場合の登記>>
所有者によっては、様々な登記形式で登記されている場合もあるが、表に掲載してあるのは、あくまでも基本的なパターンである。
所有者 登記簿記載事項 登記簿記載例 特徴 説明編節 権利能力なき社団 ①代表者個人の住所・氏名(単独所有)
②構成員全員の住所・氏名(多数共有)①住所
氏名
②住所
持分 氏名純粋な個人の単独所有や純粋な個人の共有の形式と区別がつきにくい ・概要(2編2節)
・詳細(3編)町内会・自治会等の地縁団体 ①代表者個人の住所・氏名(単独所有)
②構成員全員の住所・氏名(多数共有)①住所
氏名
②住所
持分 氏名権利能力なき社団に属するため、登記形式は同じ。 ・概要(2編2節)
・詳細(3編)法人化した認可地縁団体 「認可地縁団体」 〇〇町 法人化すると、地縁団体名で登記できる。 ・概要(2編2節)
・詳細(4編)戦時中の法人化した町内会・部落会 「町内会・部落会名」 大字〇〇 現在では、基本的に市町村に属する。 ・概要(2編3節)
・詳細(8編)財産区(新財産区) 「財産区名」 〇〇財産区 地方公共団体の一部である特別地方公共団体である。 ・概要(2編3節)
・詳細(10編)財産区(旧財産区) 「財産区名」 大字〇〇 地方公共団体の一部である特別地方公共団体である。 ・概要(2編3節)
・詳細(8編)入会団体 ①代表個人の住所・氏名(単独所有)
②構成員全員の住所・氏名(多数共有)①住所
氏名
②住所
持分 氏名広い意味での「権利能力なき社団」に属するため、登記形式は権利能力なき社団と同じ。 ・概要(2編2節)
・詳細(11編)
変則型登記、権利能力なき社団・認可地縁団体等に関する登記手続と法律実務ー所有者不明土地、表題部所有者不明土地、相続人探索、字持地、多数共有地、財産区、特殊な名義ー(著者:正影秀明/著)P51より引用
Q&A

Q1 字名義(大字、字、区等)で、登記はできるの?

旧財産区であれば、字名義で登記ができます。
上記図の「財産区(旧財産区)」を見てください。
財産区(旧財産区)ですが、登記簿記載例は、「大字◯◯」となっています。
すなわち、財産区(旧財産区)は法人格を有していますが、
登記簿には「大字◯◯」と表示されるケースがあります。
財産区(旧財産区)であれば、登記簿上、必ず財産区と表示しなけらばならないわけではありません。
登記研究337P70
注意!本ブログ内では、財産区(旧財産区)は存在しないことを前提としています。

戦時中の法人化した町内会・部落会も、字名義で登記ができます。
昭和18年3月の法律第80号及び第81号。
注意!本ブログ内では、字名義地は、「戦時中の法人化した町内会・部落会」の所有ではないものとして考えています。当該部落会等の所有とした場合、ポツダム政令第15号により当該部落会等は解体させられ、字名義地が市町村に帰属することになるからです。本ブログ内では、字名義地は、上記図1の「町内会・自治会等の地縁団体」が有している財産と考え、その処理方法を考察しています。

Q2 ◯◯自治会(字〇〇)が所有する財産で、字〇〇ではなく、個人名で登記がなされている場合は、どう考えていますか?

その場合は、〇〇自治会の代表者名義で登記がなされている可能性が高いので、権利能力なき社団の場合と同様に、委任の終了などを原因として処理してください。
その他、地方自治法260条の38、39を利用する方法もあります。

本ブログで考察しているのは、例えば、登記名義人となれないはずの「字」が登記名義人として記載されている場合の処理についてです。

字有財産の処理について、参考になる資料はありますか?

用地ジャーナルアーカイブ、1997_12_017を参考にしてください。
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